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日本の小売業の課題は「生産性」と「適正な値付け」である

■コンビニ業界は「天下盗り」の最終決戦に

 コンビニエンスストアは、私たちの生活に非常に近い業界である。それ故にコンビニ業界は、日本の小売業が抱える課題をいかに解決していくかという責務も負っている。

 今、コンビニ業界は、「天下盗り」の最終決戦に入っている。主役は、言うまでもなくセブン-イレブン(セブン&アイ)、ローソン(三菱商事系)、ファミリーマート(伊藤忠商事系)の3社である。

 過去10年ぐらいを振り返ってみると、国内の小売り業態で持続的な成長を遂げられたのはコンビニ、eコマース、そしてユニクロやニトリなどの強い専門店ぐらいである(特色のある老舗や食品店もあるが、ここでは別にする)。

 特にコンビニとeコマースは、高齢化と核家族化、そして「忙しさ」を背景に成長を続けてきた。高齢化によって消費者の行動半径は狭まっており、核家族になって1世帯当たりの物の購買量が減り、女性の社会進出が進むにつれ、家族の朝夕の忙しさが増している。

 そうした状況のなかで、ワンストップ、ワンクリックで買い物ができるコンビニやeコマースの活用が進むと同時に、総合スーパー(GMS)や百貨店業態は業績縮小のサイクルを止められないでいる。

 世の中の商売には、時代状況を背景にした“波”があり、波のある所でサーフィンをしなければ、いくら気合と根性と理論武装があっても勝てない。時代に即した特徴を示せない中途半端な小売業は存立が難しく、特徴ある商品やサービスを持たない小売りなどはアマゾンを中心としたeコマースと戦っていくのが難しい。

 連載でも何度か強調したようにコンビニといえども安閑としてはいられない。絶えず新しい商品やサービスの創造や業務改革のためのPDCAを回し続けていなければ、あっという間に振り落とされる。

 これはコンビニに限ったことではないが、小売業が生き残るためには、(1)核となる事業領域(ドメイン)を強め、生産性を向上させていること、(2)プライシングのあり方を主導的にリードできること、の2つの要件を満たされなければならないと思っている。

 小売業はサービスセクターの中心をなす産業であり、そのサービスセクターは日本のGDPの70%を叩き出している。しかしサービスセクターの生産性は極めて低いままだ。生産性が低いので創造される付加価値も少なく、従業員給与なども抑えられる負のスパイラルにある。

 サービスセクターの生産性の低さは長年にわたって指摘され続けてきたことだが、もう少し踏み込んで見れば、生産年齢人口が減少する、つまり働ける人が減っていくのだから、結局は生産性が高い企業しか生き残れないという淘汰の流れがはっきりと見える。

 もう一つ、生産性の向上には新陳代謝が不可欠だということも見える。社内の活性化だけでなく、異業種連携も含めた新陳代謝の仕掛けづくり等々、経営トップが打つべき手は、より戦略的にならざるを得ない。その結果として自社ドメインの再確認と持続的な強化がされていく。こうした取り組みがない小売業は淘汰されていくだろう。

 ローソンで言えば、半径300~500m程度を商圏とする「ご近所のお店=ネイバーフッドストア」を事業ドメインとして商品やサービスの拡充を進める一方で、資本参加している自然派食品宅配の大地を守る会と同業のオイシックスが経営統合し、宅配(eコマース)分野にも足場を強固にした。自然派食品宅配業界では2位と3位の経営統合であり、業界に与える影響は大きい。ローソンは、このようなかたちで食品に特化したeコマースのあり方を追求していく。


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